エンスー的要素の強い時計というアイテムだけに、視野は狭く偏りがちになることもしばしば。ここはひと呼吸おいて、女性の意見も参考にしたい。
そこで、人気スタイリスト辻 直子さんに、「もしも自分が男性だったら」、という目線で選んでいただいた。奥さまを説得する材料にもなるかも!?
「年を重ねてもスタイルのある自分でいられる腕時計を」
選んだのはこの人 スタイリスト 辻 直子さん(@naoko.ts)
数々の女性誌・広告などで腕を振るう超人気スタイリスト。ジャガー・ルクルト「レベルソ」、ロレックス「デイトジャスト」などを愛用中。ご自身にとって時計とは「ミスマッチを狙ったハズしアイテム」として着用するものだとか。ティソの名作「バナナ・ウォッチ」の別注モデルを手掛けたこともある。
男の世界って、ちょっとカワイイと思うところがあるんです。そもそも男性は物を買うのに理由が必要で、ブランドの背景やアイテムの作り込みに納得しないとダメ。ただ一度気に入ったらゾッコンで、並んでまで買う。
女性はもっと単純で、感覚的に気に入ったかどうか。時計はそういう意味で「男性的」なアイテム。素材、機能、ディテールと語りだしたらキリがない。女性に比べて種類が少ない装飾品の中で選ぶため、思い入れも強くなるんでしょうね。そういうのって女性としてはうらやましいんです。
だから、私がもし男性だったら、コレという3本を選んでみました。ポイントは、「ひと目でそれとわからない感」「おまけ付き」「男らしい顔」。いつも同じような格好をしていても、スタイルがある方を素敵と思うように、私が男性なら、そこを目指すと思うんです。この3本なら、年を重ねてもスタイルのある自分でいられそうだなと。時計を知らない私が男性にすすめるなんて、恐れ多いですが(笑)。
OMEGA
オメガ/シーマスター 300 マスター コーアクシャル
SSケース、41mm径、自動巻き。68万円/オメガ 03-5952-4400
オーバースペックという「おまけ付き」の魅力を体験希望
「男性の時計で最もうらやましいのは、過剰なスペック=おまけを大事にする点。オモチャを選ぶみたいで微笑ましい」と選んだ300m防水性能のダイバーズ。オメガが誇る1万5000ガウスの耐磁性能を備えるCal.8400を装備する。
「水深300mって実際には潜らないですよね。女性には理解できない部分ですが、男性が自慢のウンチクを熱く語るのは好きなので、自分も語ってみたいなと(笑)。ヴィンテージ顔のこの時計は、ロゴTシャツに洗わずはき込んだ男らしいデニムで、さらりと着けこなしたいです」。
PATEK PHILIPPE
パテック フィリップ/カラトラバ 5227
K18YGケース、39mm径、自動巻き。359万円/パテック フィリップ ジャパン 03-3255-8109
「ひと目でそれとわからない」ドレスウォッチを生涯かけて愛でたい
「シンプルなドレスウォッチに惹かれる理由は、“ひと目でそれとわからない”奥ゆかしさを感じるから」と選んだのは、クリームダイヤルが柔らかな印象を与える中三針デイト。
「いつかは手にしたい憧れの名門。若いうちから簡単に似合うものではないと思うので、自分に似合うスタイルをじっくり探しながら、おじいさんになるまで一緒に年を重ねていきたい1本です」。
BREITLING
ブライトリング/アビエーター 8 B01
クロノグラフ 43 カーチス ウォーホーク
SSケース、43mm径、自動巻き。85万円/ブライトリング・ジャパン 03-3436-0011
とっても「男らしい顔」で個性を際立たせるのも素敵
「腕の細い女性がまず着けないのが、大ぶりでマッチョな時計。その意味でブライトリングは、男時計の象徴。だから、逆に憧れるんです」と、磨かれたマッシブなベゼルと43mm径ケースを持つクロノグラフをピックアップ。
「時計のストラップって、装飾の少ない男性が遊べるわずかな部分。こうしたファブリックをチョイスしていると、お洒落に気遣っているんだなと思います。こういう男らしい時計は、カーディガンやシャツみたいな、スタンダードな服と合わせてコントラストを楽しみたいですね」。