ネパール研修報告


2023/12/21-28

ネパール研修に参加して


神戸常盤大学同窓会理事 保健科学部看護学科12期生 尾田 珠璃亜

 
私はネパール派遣研修に参加したいという思いから神戸常盤大学に入学しましたが、COVID-19のパンデミックによる渡航制限により中止が続き、この研修に参加することなく卒業しました。しかし今回、念願叶って同窓会の役員として研修に参加する機会をいただきました。
ホームステイは私にとって初めての経験であり、初日は緊張や不安が大きく、自分から話しかけることやネパール語が飛び交う家族の話の輪に入ることができませんでした。しかしホストファミリーは、私にたくさんのネパールの言語や文化、宗教について教えてくれました。初日を受け身で過ごした私は、自ら知る姿勢を持ち積極的に関わりたいと思い、持参したネパール語の本を用いながら、アマ(お母さん)が作ってくれた料理の名前を調べたり、自分の気持ちを伝える努力をしました。ネパール語の発音や文法が間違っている部分もあったと思いますが、ホストファミリーや8日間で出会ったネパールの人々は私の言いたいことを汲み取ろうと真剣に話を聞いてくれました。
アマとマーケットに買い物に出かけた際、車やバイクが多く走る道路にも歩行者用信号機や横断歩道はほとんどないため、アマは私の手を引いて連れて行ってくれました。鶏肉を販売している店では、店主が帽子やエプロン、手袋を着用せずに肉をカットしている様子や交通量の多い道路の脇で食べ物を売っている人たちもおり、排気ガスや埃がかかっているのではないかと思ってしまうほどでした。食品衛生の観点からも日本ではみない光景に驚きがありました。
病院見学では、看護師や看護の実習生ともに髪型はお団子、白靴下を着用し清潔で安全な医療を提供する身だしなみであることは日本と大きな変わりはありませんでした。しかし院内の環境は、日中でも電気は付けず外からの明かりのみであり、暗い印象を受けました。病室は隣の患者との間隔が狭く、カーテンなどの仕切りもなく、ベッド柵が設置されていませんでした。さらに疾患名、住所、年齢、性別、名前など患者の個人情報すべてが記載されたホワイトボードが廊下に掲示されており、プライバシーや安全面の配慮について不十分であると感じました。また、呼吸器科に入院している患者全員がCOPDと診断され入院していました。それは、ネパールの高い喫煙率や車、バイクの排気ガスによる大気汚染などが引き起こしているのではないかと思いました。車やバイクの数が多いのはもちろんですが、ホストファミリーとボダナートへ出かけた際にタバコを吸っている中学生か高校生くらいの子どもたちを実際に目にしました。学校見学では、豊富な楽器や広い校庭に遊具、そして授業はすべて英語で行われ、教育のレベルも上がっていると感じました。そのため健康教育にも力を入れ、自らの健康を適切に管理できる子どもたちが増え、生涯を通じて自己健康管理を行うことができるよう取り組みが必要なのではないかと考えました。
私はこの研修でネパールの方々だけでなく、派遣団員として参加した学生たちにも驚かされました。海外経験をしてみたいからという学生や将来は海外を視野に入れて専門分野を活かしたいという思いがある学生など研修に参加した動機は様々でしたが、異文化に対して理解し、学ぼうとする真っ直ぐな姿勢や堂々としたプレゼンテーションは素晴らしいものでした。今回の研修を通じて、今は日本の医療現場で働き、日々勉強中の私ですが将来的には国内だけでなく国外の様々な地域の特性・ニーズを把握し、世界規模で医療に貢献していきたいという思いが一層強くなりました。
最後に私を本当の家族のように受け入れ、接してくれたホストファミリーやハチガンダ福祉協会の方々、引率の先生方、この研修にご尽力いただいた皆様に感謝を申し上げます。ダンネバード!

マーケットの様子

アマの手作り料理

授業の様子

病室の様子

ダンネバード!

 
 

ネパール研修報告


2018/12/22-29

ネパール研修を終えて

神戸常盤大学同窓会長  岡部 文雄

 同窓会役員としてネパール研修に同行しました。今回で2回目の参加です。
 2年前に訪れた時と比べいくつか変化がありました。トリブバン国際空港が少し綺麗になり、メイン道であるリングロードのデコボコ道が改善し、通信環境が整備され、さらにネパール地震からの復興も進んでいました。ネパールでは復興やインフラ整備が最優先されており、首都カトマンドゥは確実に発展が進んでいました。見学先であるネパール医科大の血液関連検査機器が更新され、多項目の検査が短時間でできるようになっていました。ただ、トリブバン大学付属病院は未だ古い機器の使用され、病院間でもインフラ整備に大きな差を認めました。
 変わってないものもありました。ネパールの人々の”心”です。変わらない「心の温かさ」は健在でした。ただ、研修生である神戸常盤の後輩達の「心の温かさ」もネパールの人々に引けをとらないと思いました。ネパールの学生達の交流ではジェスチャーや笑顔ですぐに打ち解け、病院研修では分からないことや疑問点を積極的に質問していました。そして、ホームステイ先では本当の家族のように溶け込んでいました。
 今後、仕事を行う上での方向性や人生の歩みの中で、この研修の体験が大きく生かされると思います。同窓会として、一人でも多く、このような経験ができる学生を増やしていけるよう、学校側と協力していきたいと思います。
 最後にこの交流を築きあげた小野先生とシバ・クマール・ライ先生、そして交流の積み重ねにご尽力していただいた関係者の方々、同窓会役員、学生達のすべての皆様に感謝を申し上げます。

学長と学生達

ライ先生と研修生

病院見学で話を聞く